「代理ミュンヒハウゼン症候群」とは、昔からある病名で一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ここ数日「代理ミュンヒハウゼン症候群」に注目が集まっているのは悲しい事件がきっかけです。
ただ心配なのは「代理ミュンヒハウゼン症候群」に対し誤った知識を持ち、本当に介護、看護をしている人に疑いの目がかけられること。
無論、代理ミュンヒハウゼン症候群にしろ、他のあらゆる精神疾患は素人目で簡単に判断できるものではありません。
今回はそんな「代理ミュンヒハウゼン症候群」と虐待についてまとめていきたいと思います。
7歳の息子を窒息死させた疑いで母親が逮捕される
今回「代理ミュンヒハウゼン症候群」が話題となったのは神奈川県で起きた悲しい事件がきっかけです。
神奈川県大和市の自宅で2019年8月、小学1年の次男(当時7歳)を窒息死させたとして殺人の疑いで逮捕された母親の看護助手、上田綾乃容疑者(42)=同市西鶴間3=について、県や市が、周囲の気を引くため子どもを傷付ける精神疾患の一種「代理ミュンヒハウゼン症候群」の疑いがあるとみて対応していた。県や市が21日に記者会見して明らかにした。上田容疑者の子どもはほかの3人も乳幼児期に死亡しており、県警は死亡の経緯を慎重に調べている。
毎日新聞より引用
殺人の疑いで逮捕されたのは自称看護助手の上田綾乃容疑者(42)
ちなみに今回殺害された疑いのある当時7歳の雄大君以外にも、3人の子どもがいて、3人とも死亡しているとのこと(事故死扱い)
4人の子どもが幼いうちに亡くなるのは余りにも不自然な話ですね。
代理ミュンヒハウゼン症候群とは?
そもそも「代理ミュンヒハウゼン症候群」とはどのような病気でしょうか。
親が子どもの身体をわざと傷つけたり、病気になるよう仕組んだりしたうえで、健気に看病する親を演じて周囲の同情や注目を集めようとする精神疾患。幼児虐待の特殊型ともいえる。子どもに様々な検査や治療が必要であると医師に誤診させるために、体温計を操作して高体温を装ったり、子どもの尿に自分の血液を混ぜて血尿に見せかけたりするなどして症状を捏造する例がある。エスカレートすると薬物などを飲ませたり窒息させたりして子どもに実際の身体不調や病的状態を作り出し、子どもが死に至るケースもある。
(2020-9-17)
コトバンクより引用
このように、特定の誰かを「わざと」介護や援助が必要な状態に仕立て上げ、あたかも「私は献身的に介護、看病している」とアピールして自身の欲を満たそうとする精神疾患です。
代理ミュンハウゼン症候群の親たちは子供たちを病気にしたり、傷つけたりしてから、偽の看病をすることで、周りの人々から同情や注目を集めようとする。
この病気の一例として、親たちは子供たちに様々な検査や治療が必要だと医師に誤診させるために、体温計を操作して高体温を装ったり、子供たちの尿に自分の血液を混ぜて血尿に見せかけたりする。場合によっては、親たちは子供たちに薬物を与えたり、窒息させたりして実際の身体不調や病的状態を作り出すこともある。
最悪の場合、死に至らせる場合もあります。
親が子どもに対してもそうですが、彼氏が彼女に・・・なんて事も起こりえるのではないでしょうか。
自分のペットに虐待をし、良くなる工程を撮影し、あたかも「保護して、懇親的に介護している」ように見せかける人もいるようです。
周囲を騙すことは勿論の事、対象者も洗脳するため尚更周囲には気付かれません。
「貴方は病気で歩いてはいけないから車いすで生活しなさい」と幼い子どもが親に言われたら、信じてしまいますよね。
何の病気もない健常者でも、「洗脳」によって病気にされる事もあります。
「代理ミュンヒハウゼン症候群」を映画・ドラマから学ぶ
さて、「代理ミュンヒハウゼン症候群」は実は映画やドラマの中でも出てくる事がありますし、メインの題材として扱われている映像作品もあります。その中の一部をご紹介します。
代理ミュンヒハウゼン症候群を学べるドラマ「見せかけの日々」
「母親から難病だと洗脳され、頭を剃られ、車いす生活を強要される」
2015年にアメリカで起きた事件を元にした作品です。原作は「The Act」
実際にこんなことがあったなんて、本当に怖いですね。
平成の代表的ホラー映画「着信アリ」
着信アリはただのホラーではなく、人のどろどろした心理や様々な描写が垣間見える作品で、虐待や親の「代理ミュンヒハウゼン症候群」もストーリーに盛り込まれています。
電話がかかってくると必ず死ぬ・・・当時はあの奇妙な着信音が流行しました。(死の着信音)
友人の携帯の着信音を勝手に死の着信音に変更しビビらせるという恐怖のイタズラも流行りましたね(笑)
着信アリはU-NEXTで視聴可能です
※今なら31日間月額料金が無料です。
虐待の疑いがある場合どうすればいい?
知人や隣人近所等で虐待を疑う場面に出くわす事がもしかしたらあるかもしれません。
・近所でよく子どもの泣く声が聞こえる
・子どもの泣き方が異常
・明らかに暴行を受けたような傷がある
・親に怯えているような素振りを見せる
このように、「もしかして虐待?」と疑うような場面に出くわした時どうすればいいのでしょう。
間違っても「個人で解決」なんてしようとしてはいけませんし、出来ません。
親に問い詰めたり、説得をしたところで逆上し余計に子どもが危険な目に遭う事がほとんどでしょう。
残念ながら、専門機関に相談、通報するくらいしか他人に出来る事はありません。
余程の覚悟があるのならば、虐待されている子どもの精神的な支えになる事、親に気付かれないように証拠を掴む事。
ですが余計な火種を生むことになりかねないので素人判断で行動することはおススメ出来ません。
虐待を疑った時相談できる専門機関
電話番号は「189」番
まずは電話して相談をしてみましょう。
貴方の電話で救える命があるかもしれません。
被虐待児童の心を知る
「虐待なんて、子どもが可哀想過ぎる・・・なんてひどい親なんだ。」
近年虐待のニュースが増えてきましたね。悲しいニュースを見るたびに多くの人がそう思うでしょう。
ですがニュースになるのも、保護される子どもも氷山の一角であり、虐待は知られていない数でも相当な数であると予測されます。
そして、「自分から逃げたり、誰かに相談できる子どもは少ない」
これは何故でしょうか。
それは、虐待されても「親」だからです。
DVもそうですが、一種の洗脳もあります。
他人から見れば「最低な親」でも、子どもからすれば「愛されたい、愛すべき親」なのです。
「自分が悪いから・・・」「自分が我慢すれば・・・」と一人で抱え込んでしまう事が圧倒的に多いのです。
虐待が発覚した後はどうなる?一時保護所とは?体験談
私が高校生の時、お付き合いをしていた女性が虐待を受けていました。以下その女性をA子とします。
「暴言、ネグレクト」精神的虐待から始まり、「暴行」身体的虐待に発展しました。
学校と連携を取り、A子は「一時保護所」に隔離されることになりました。
一時保護所とは、施設に入る前に、一時的に隔離、保護される場所です。
そこから、本人の意思や親との話し合いで施設に入所するかどうかが決められます。
誰にもその場所は知らされません。連絡手段も一切なく、本当に「隔離」の状態でした。
その間にA子は一時保護所で話を聞かれ、職員さんが親と話をしていました。
A子の場合は、学校も変えたくないし、友達とも離れたくない、施設に入りたくない等の理由で約2週間ほどの一時保護所での保護の後自宅へ戻ってきました。
その後の話は今は控えたいと思います。
虐待は悲しい事に連鎖する。でも周囲の力できっと減らしていける。
虐待はどんな理由があれ許される事ではありません。
子は親の所有物ではありません。
暴言、暴力で支配していいものではありません。
ですが、虐待する親も、過去に虐待されていたとしたら・・・
残念ながら虐待は連鎖しやすいというデータがあります。
虐待されて育った子どもが親になった時、自身の子どもも虐待してしまうケースも多いのです。
虐待の残虐なニュースを見た時、貴方はどう思いますか?
私も勿論許せません。
ですが、その親も辛い過去があって、「愛し方が分からない」苦しみの中もがいていたとしたら。
元を辿ればきりがありませんし、どこかでその連鎖を断ち切らなければいけません。
でもそれを「自分自身」だけの力で出来るほど人は強くありません。
だからこそ、周囲の助けがいる。支えがいる。助け合える世の中になれば、
一人一人が他人に愛を持って接する事が出来る世の中になれば、きっと悲しいニュースは減らしていける。
綺麗事かもしれませんが、そんな綺麗事を描けるのも私達人間の心の素晴らしさではないかと私は思います。
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